【この翻訳がスゴイ!】beとbecomeの違いで表現された海賊王への姿勢(ONE PIECE)

〇〇で楽しく英語学習

どーも、トモトモです!

今回、取り上げる作品はこちら!!

最新102巻 絶賛発売中

ONE PIECE!!
もう、大っ好きな作品です!!高校の休み時間はいつも友だちとワンピの話で盛り上がってました。
紛れもなく僕の青春を彩ってくれた作品です!

20年以上続いた連載が終盤ということで、盛り上がりつつも寂しさを覚える今日この頃。

そしてそして!!
取り上げる表現は、bebecome
文法チックに言えば未来表現におけるbeとbecomeの違いというところでしょうか。

この二つ、混乱しやすい表現の一つです。あちこちで解説記事や動画があります。
そしてなぜか、例文に使われるのはdoctorです。
あちこちで「be a doctor」「become a doctor」と出てきます。

お医者さんといえば毎年、子どものなりたい職業トップ10に入るほど人気ですが、
be/become界隈でも人気の職業のようです(笑)

しかし当記事では違います。
今回、僕が取り上げる職業は

海賊王…King of pirates です

beとbecomeの一般的な違い

ではまず、googleで「be become 違い」と調べたときの解説を載せます。

「一定時間続く状態(be)」「状態の変化(become)」か、だそうです。
ゲームの状態異常に例えるなら、相手を毒状態にする技がbecome技を喰らって毒状態になってるのがbeといったところでしょうか。

日本語で表現するなら(たぶん)こう。
「ああ、このキャラが毒状態にする技を喰らっちゃったよ~」(become)

「ああ、このキャラが毒状態になってるよ~~」(be)

いかがでしょう。どっちでもいいってなりませんか?(笑)
そりゃ微妙に意味が違うけど、相当な状況じゃないとわざわざ使い分ける必要性がないんです。

だから、beとbecomeは通訳さんでもない限り、使い分けにこだわりすぎる必要はないというのが僕の見解です。

ただし!!
そんな僕が、beとbecomeに感動したのが次の作品。

英訳版 ONE PIECEにて、bebecomeの違いでキャラクター性を表した名英訳が見られました。

海賊王に俺はなる

では本題。
ONE PIECEの例文を出しましょう。

我、抜粋いたすは、ONE PIECEを読んだことない人でも知ってるであろう有名なセリフ。
海賊王に俺はなる」

さあ果たして、「海賊王に俺はなる」「なる」は、「be」「become」か。
では答え合わせ、ハイドン!!

I will become the Pirate King.

というわけでbecomeでした!!辞書アプリに例文が載っていたのは驚きました。。。

ちなみにこのセリフには派生がありますが、ルフィがどう言おうと「become」です。

例えば、ホールケーキアイランド編(84巻)の名シーン。
「必ず戻ってこい!」とサンジへ叫んだ言葉がこちら。

I can’t become the king of the pirates!!!!!
(お前がいねえと)俺は海賊王になれねえ!!

うう、泣ける……じゃなかった。
ご覧の通りbecomeです(涙)

ちなみにさっきの例文だと海賊王=Pirate Kingですが、実際の英訳版『ONE PIECE』では海賊王=the King of the piratesになってます。

さて、次に紹介する場面ではbe the king of the piratesか、become the king of the piratesの違いで、海賊王を目指す姿勢の違いが表現されています。

beとbecomeの違いは、海賊王への姿勢の違い

さて、引き続きホールケーキアイランド編(84巻)から抜粋します!!

ビッグマム海賊団に囚われてしまったルフィとナミ。
ビッグマムは二人に、娘のローラの居場所を尋ねます。

ビッグマムは実の娘のローラを殺したいほど憎んでいました。
かつてローラを巨人族に政略結婚させ、巨人族の協力を得ようとしていたのです。
が、ローラはそれを拒否し出奔。ビッグマムのたくらみは失敗します。

当時を振り返るビッグマムは憤慨します。

If only…she’d done what I’d said and gotten married…oh, the power I’d have gained!!
もしも……!!あの時!!あいつさえ黙って結婚してりゃ…!!得られた力は強大だった…!!
I’d already have destroyed Kaido!! Red-hair !! and even Whitebread!! By this point…

おれはとっくに!!“カイドウ”も“赤髪”も!!“白ひげ”さえもブッ潰して!!!今頃は…!!!

I’d already be…the king of pirates!!!
「海賊王」に!!!なってたんだァ~~~!!!

はい!becomeじゃなくてbeでした。
「海賊王になる」というセリフこそルフィのものと一致してますが違う表現がされてます。

ビッグマムのセリフのニュアンスを読み解いていきます。
ビッグマムが「海賊王になってたんだ!」というセリフのシチュエーションを考えてみましょう。

ビッグマムが海賊王になるため、選んだ手段は政略結婚の末、巨人族の力を借りることです。
流れとしては、
政略結婚→勢力を拡大する→拡大した勢力で他の海賊たち(赤髪や白ヒゲ等)を倒す→海賊王になる ですね

ローラに政略結婚をさせたとしても、その時点ではビッグマムは海賊王になっていないわけです。だからbecome (became)にはならないんです。

そして、怒るビッグマムを恐れずルフィが返した言葉がこちら。

It was Lola who didn’t get married…
結婚しなかったのがローラだろ……!!
And it’s you who failed to become king of pirates!!
「海賊王」になってねぇのが…お前だろ!!!

はい!ここで出ました!!「become」!!

「failed to become king of pirates(海賊王になるのに失敗した)」というセリフは、自分の目的を果たせなかった理由を他人のせいにしてるビッグマムには最高に響く表現です。

政略結婚が上手くいっても海賊王になれたかわからないし、政略結婚が上手くいかなくても海賊王になる道もあったかもしれない。これまで格上の相手との戦いで敗北しても一切言い訳せず、最後は勝利してきたルフィだからこそ、読んでる側にも響きます。

だからお前は海賊王になれなかった=failed to becomeだ、というわけです。

最後に

最後にもう一度、「(サンジがいねえと)俺は海賊王になれねえ!」と言っていたセリフを振り返りましょう。サンジがいなくなって、ルフィはなんと言ったでしょうか。

「can’t become」です。can’t beではありません。

言動も行動も何もかも自由なルフィですが、サンジの存在がなければ、ルフィは冒険を続けることも強敵に勝つこともできない、ということを認識している。「“俺が”なれねえ」と言ってるんです。

娘のせいで海賊王になれないと恨み言を言ったビッグマム。
サンジがいないと海賊王になれないから、戻ってくるまで待ってると言ったルフィ。

beであるか、becomeであるか。
本編中でも描写された二人の対比を表現してくれた素晴らしい翻訳だと思います。

そして僕はこのシーンが大好きです(笑)

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