どーも、トモトモです!!
今回取り上げる作品はこちら!!
ニセコイ (2011~2016)
英訳版タイトル:Nisekoi -False Love-
ラブコメといったらコレといえるほど有名な作品ですがもう連載開始から10年以上経つんですね!(驚)
ヒロインがみんな可愛すぎて初めてキャラソンを聞きあさるほどにハマった作品でした。(小野寺さんのリカバーデコレーションとるりちゃんのオーダー×オーダーがお気に入り)
そしてそして!!抜粋するのは6巻の、ある意味伝説のシーン。
ここの英訳!最初は違和感があって「んん?」って頭を捻ったんですが、考察すると面白い推理が成り立ったので記事にしました!!
原語版の演出のために、翻訳家さんの苦悩が伺えた英訳についてのお話です!!!!
カクニン ~キムチでもいい? の意図を再確認しよう~
件のシーンはヒロインの一人・小野寺小咲が主人公・一条楽へ思いを抑えられず「キスしてもいい?」と言い、それをヒロインの一人・桐崎千棘が見てしまった!?というドキドキの場面です
読者側が「どーなっちゃうの!?」とドキドキしていたら、楽がまさかのうたた寝で聞き逃していて、千棘はその場面を見てはいたけど「キスしてもいい?」を「キムチでもいい?」と聞き間違えていました、というオチ。
やたら話題に上がるシーンではありますが、思い出してほしいのは「キムチでもいい?」は「キスしてもいい?」の聞き間違いとして生まれたセリフであるという点です。
この二つの台詞を対比することが今回の記事では重要になってくるので覚えていてください。
この前提を抑えた上で、いよいよ件のシーンを見ていきましょう。
エイヤク① ~「キムチでもいい?」の英訳~
まずは原語版から!!
何度見ても切なそうな表情とミスマッチすぎて笑うw
千棘ちゃんも「意外と辛党だったのね」じゃないよッ!!www
では続いて英訳版を見てみましょうー!!
キムチでもいい?
→ Would you eat Kimchi?
直訳すると「キムチ、食べますか?」
ここで注目してほしいのは文中の主語!!
「(Would) you」なので「あなた(you)=楽」のことを指しているという点です。
これはまあ普通です。
エイヤク② ~「キスしてもいい?」の英訳~
では続いて小野寺さん本来のセリフ!
まずは原語版から
念のため確認します
このシーンは小野寺さんが楽にキスしていいか?という意味ですね?
では英訳版を見ていきます!
キスしてもいい?
→ Would you kiss me?
直訳すると「あなた(楽)”が”私(小咲)”に”キスしてくれませんか?」
はい、お気づきでしょうか!!?
この文章、英訳に伴い主語が変わってるんです。
本来「キスしてもいい?」の英訳は以下のようになります。
わかりやすくするためにリストにしておきますね!
- 日本語:キスしてもいい? =私(小咲)があなた(楽)にキスしていい?
- 英語:Would you kiss me? =あなた(楽)が私(小咲)にキスしてくれませんか?
スラングかなにかと思って調べてはみましたが、やはり直訳そのままの意味でした。
コウサツ ~なぜ言語版と主語が変わってしまったのかを考察~
僕は翻訳に携わる仕事をしていましたが、主語を変えて伝えたことはありませんでした。
実際、「私がキスしていい?」と「私にキスしてくれない?」は意味が全然違いますよね。これまで僕はジャンプの英訳漫画は10冊ほど読んできました。多いとは言えませんが、それでも主語まで変える翻訳は初めてです(※以前取り上げた「寝言は寝て言え」みたいな熟語は除く)。
なぜ、小野寺さんの「キスしてもいい?」というセリフは英訳に伴い主語が変わってしまったのか。 ここからは僕の推理ですが、たぶん合ってます。
それはズバリ!!!
英語で「キムチでもいい?」を言わせるために主語を変えざるを得なかったんです!!!!
タンテイ ~主語が変わった理由を推理~
ではもう一度「キムチでもいい?」の英語版を見ていきます。
“Would you eat Kimchi?”ですね?
じゃあ思い出しましょう!!
千棘ちゃんはどんなセリフと聞き間違えたでしょうか!
Would you kiss me?
つまり、千棘ちゃんの聞き間違いは、
Would you kiss me? → Would you eat Kimchi ?
ですね?
もしもこれが言語版に忠実だったら。
「(私からあなたに)キスしてもいい?」だったら
Would you kiss me ?ではなく、Would I kiss you ? になります。
そしてこの場合、千棘ちゃんの聞き間違いも以下のようになります。
Would I kiss you? → Would you eat Kimchi ?
これ、聞き間違えますか???
そりゃね。「キスしてもいい?」を「キムチでもいい?」って聞き間違えるのもおかしい(おかしいからギャグとして成り立つわけだけど)けど、
「Would I kiss you ? (ウドゥアイキスユー)」と「Would you eat Kimchi ?(ウドゥユーイートゥキムチ)」を聞き間違えるのは、ギャグが成立しなくなるレベルでおかしいです。
特に「キムチ」と「キスユー」は全く聞き間違えようがない。「キムチ」を「キスミー」と聞き間違える方が強引だけどまだ無難ということですね。
つまり主語が変わった理由は、千棘ちゃんが小野寺さんのセリフを「キムチでもいい?」と聞き間違えるために「一条くん、私にキスしてくれませんか?」にしなければならなかったんです!!!!ドン
オナヤミ ~翻訳家さんの苦悩~
では続いて「翻訳家さんひどいやんけ!」という意見が出ないように補足
読み飛ばしても構いませんが、翻訳した人が小野寺さんに悪意があったとかいうのは全く的外れな批判になるのでそこだけ留意していてください!!
では解説!!
たぶんみんなツッコむのが、
言語版に忠実にするならせめて言い間違いの方の主語を変えようよ!という点
このシーンは、あの奥手な小野寺さんが「私からキスしてもいい?」って勇気を出したとこが尊いから、ここはキープすべきだ!せめて「Would I eat Kimchi?」にして「Would I kiss you?」にできなかったの?とか
これはもう、仕方なかったんです。繰り返しますが翻訳家さんも悩んだと思います。
なぜなら「キムチでもいい?」は絵的に「Would you eat Kimchi?」にせざるを得なかったんです。
注目して欲しいのが左下
苦悶の表情を浮かべる楽と食べ物を差し出す小野寺という構図
もう絵的に「苦しそうな楽に何かを差し出そうとする小野寺さん」という構図があるから「Would I eat Kimchi?」にはできないんです。
そしてこの構図がなければ千棘ちゃんの勘違いも成り立ちません。
いくら翻訳家と言えど……いや、翻訳家と言うプロだからこそ漫画という媒体に関わる以上、絵にそぐわない翻訳はできなかったんだと思います。
サイゴニ
最後に。さんざん書いてしまいましたが僕はこの翻訳の意図を推理したとき笑いました。
このシーンについては、笑える話としてネタにはしますが嫌悪感はありません。
僕自身はニセコイという作品が大好きですし、古味先生の次回作を心よりお待ちしております。
ではまた次回の記事でお会いしましょう~~~!!!
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