桐須真冬先生、誕生日おめでとうございます!!!!(挨拶)
はい!本日、12月28日は『ぼくたちは勉強ができない』のヒロイン、桐須真冬先生の誕生日です!!
めちゃくちゃ嬉しい。永遠の推し。人生初めて人気投票にハガキ出すほど先生エンドに焦がれていました。
特徴。真冬先生といえば、「怠慢」とか「疑問」とか二字熟語を多用しますね!
というわけで今回は、真冬先生のキャラクターは英訳でどう表現されているか、を解説していきます。
Question 1 「論外」を英語にすると?
ポイントはやはり、熟語を交えたセリフがどう訳されているかですよね。
では具体例を見ていきましょう。
問16(2巻)の幕間。
辛い物が苦手という真冬に対し、成幸が「わさびとかタバスコ苦手なんですか?」と聞いたら「論外」と返したシーン。
We Never Learnだとこのようになっています。
Out of the question. Don’t even mention them.
Out of the question.「論外」「とんでもない」を意味する熟語表現です。
質問/問題(Question)+外れている(Out)→議論の対象外、なわけですね。
似たような熟語だと故障した機械に「Out of order」なんて張り紙がされてるケースも存在します。
さて、調べてみると真冬先生が論外と言っているシーンではだいたいOut of the questionと言っています。
Question 2 「不覚」を英語にすると?
では、こんどは真冬先生が「不覚」というシーンを見ていきましょう。
「不覚」を英訳辞書で調べるとUncounsciousnessと出ます。
では果たして、We Never Learnで真冬先生はUncounsciousnessと言っているのでしょうか?
まず、問80(10巻)で、真冬先生が「不覚」というシーンが二回あるので見ていきましょう。
一回目。住んでいるマンションがガスの点検工事と知らず、浴室で思いっきり水をかぶってしまった後のシーン。
不覚……→ Oh dear…
Oh dear…は「なんとまあ」とか「やれやれだぜ」というどこぞの承太郎意味の英語表現です。
もうお分かりでしょうが、このシーンではUncounsciousnessという熟語ではなく、「やれやれ……」と感じた気持ちをそのまま言葉にしていますね。
続いて二回目。浴室で倒れた自分を助けて成幸に対し、女湯に侵入してきたと思い込んで説教してしまったことを詫びるシーンです。
不覚……→ I’m sorry.
ここでも熟語は使わず、「(勘違いで責めたりして)ごめんなさい」という素直な表現がされています。
他のシーンも見ていきましょう。
問49(6巻)のシーン。海で水着を紛失してしまい立ち往生しているところを成幸に見つかったシーン。
不覚……一生の不覚だわ
→ This is horrible…I’ll never live this down.
live downには償うという意味があります。
neverで否定しているので、償うことができない→一生涯に残る失敗だ→一生の不覚
というわけですね! 一生の不覚多いっすね先生。
あとちょっと特殊ですが問16(2巻)。
プライベートでの姿を成幸に見つかり、「不覚だわ……」というシーン。
不覚だわ……→ I’m so embarrassed.
Embarrasedは恥ずかしい思いをするという意味があります。
ちなみに冒頭、「不覚」を辞書で調べたら「Uncounsciosness」と説明しました。
実はこの単語、これまで挙げてきた例には当てはまりません。
なぜならUncounsciousnessは「前後不覚」とかの物理的に見えない、感じ取れないを意味しているからです。
その他の例
では、その他も見ていきましょう。
ケース① 辛辣
問45(6巻)
し、辛辣→That stings!
解説:Stingは突き刺すの意味。Sting of a person’s tongueで毒舌。
問119(14巻)
辛辣!→Touch’e
解説:Touche:フェンシング用語で「1本とられた」を意味するスラング。
ケース② 相違
問45(6巻)
相違!→Watch it!
解説:成幸が誤って真冬先生の手を甘噛みしてしまったため「Watch it !(よく見なさい!)」
問46(6巻)
相違→I disagree
解説:妹の美晴が成幸に「なんの苦労も知らない高校生」と言ったことに対して「I disagree(同意できない)」
いかがでしょうか。
このように、日本語版で同じ熟語が使われていようと、会話の流れが変われば表現が変わるんです。
そしてもう一つ、お気づきでしょうか。
そう。英語版の真冬先生は日本語版ほど熟語を使ってないんですね。
論外=Out of questionの方がむしろレアケースだったことがわかります。
英語は「誰が」と「誰/何に」を明快にしないと伝わらないことが多いので、主語と目的語を省略した真冬先生のしゃべり方は英語と相性が悪いと言えます。
そのため、ニュアンスが近い表現に訳す場面が多いのです。
そしてこの結果、真冬先生の誕生日回である問122(14巻)が面白い訳になっています。
翻訳で寂しさが増した一人誕生パーティ
真冬先生の誕生日が判明したのは問122.斯様に彼女らは粛々と【x】を祝す(単行本14巻収録)。なんと本編中で誕生日が明言されました。
いつも通りのテンションでジャンプを読んだら真冬先生の誕生日だったという衝撃はよく覚えています。漫画のキャラクターってだいたい本編外(単行本のおまけとか)で誕生日が判明するパターンが多いですからね。
さて、問122では真冬先生が一人、買い物をする姿からスタートします。
部屋に戻った先生は部屋を飾りつけ、料理を並べ、パーティハットを被ると、自分以外誰もいない部屋でクラッカーを鳴らします。
「祝賀。ハッピーバースデー。私」
さ び し す ぎ る
そう。桐須先生はなんと一人でバースデーパーティを開催していたのです。
部屋を飾り付けたりパーティハットをかぶったりして妙に本気度が伺えるのが切ない。
あなた毎年こんなことやってたの!?
身を隠していた恋人生徒の成幸と妹の美晴は思わず泣きながら出てくるのでした。
では、このシーン。We Never Learnではどうなっているでしょう。
普通に誕生日を祝うなら「Congratulation!!」とか「Happy Birthday!!」とかですよね!
試しに「祝賀」と辞書アプリで検索するとcelebrationと出てきました。
それらを踏まえたうえでWe Never Learnの件のシーンを見ていきましょう。
はい、ドン!!
Congratulations! Happy Birthday to me.
(直訳)おめでとう。ハッピーバースデー、私。
寂しさがやばい。
まさかの、ドストレートに「Congratulation(おめでとう)」
まるで、ダドリーの家で誕生日を迎えるハリーポッターです。
いやむしろ、ハリーだってCongratulationまでは言ってないよ!
フォローしとくと正しい訳ではあるんですよ!
例を挙げると、a speech of congratulation:祝辞とか、words of congratulation:祝福の言葉とかあるので!!Congratulationを熟語として捉えることもできなくはないんです!!
ただ、ここ!!
~~of congratulationとか、congratulation for ~~とかが省略されているため、何も知らない人が読んで「この人自分におめでとうって言ってるwww」と捉えられてもおかしくないです。恐らく、狙って訳していると思われます。
日本語版では「祝賀」と客観的で、淡々とした響きがあるから、まだ真冬先生は自分の状況を冷静に捉えている印象がありました。
しかし、英語版だと「おめでとう」と言ってるので誰にも祝ってもらえなくて寂しいからせめて自分で自分におめでとうって言うわって印象になっております。
英語版のCongratulation。寂しすぎて笑える真冬先生の誕生会を日本語のとき以上に面白く表現した名翻訳だと思います。
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