関係代名詞
関係代名詞
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:ヨーロッパ諸語などの文法で、接続詞と代名詞の機能をもつ代名詞。英語のwho, that
英語学習の第一の関門ではないでしょうか。
関係代名詞は「英語は難しい」の代名詞じゃないかと思います。
一説によれば関係代名詞が難しいと感じる理由は「日本語と違い、後ろから名詞を修飾する形をとるから」とのこと。例えば日本語が「赤くて大きい車」って言うのに対し英語は「車、赤くて大きい(the car which is red and big)」って順番になる……的なイメージです。
僕は関係代名詞が苦手でした。
たとえば、こんな例文があります。
I saw the man who wore red T-shirt. (私は赤いTシャツを着た男性を見ました)
一般的な説明だと、一つの文章で二つ分も情報を入れられてなーんて便利な表現なんでしょう!!ってなると思います。
しかし、私的には「いやいや、I saw a man. He wore a red T-shirt. でもいいやん!!省略せんでも二文使って説明できますがなにか!?」って一人で言い訳してました。
誰に向かって必死になっていたんだろう(笑)
でも認識が変わった出来事が二つありました。
一つ目が留学。
関係代名詞、読む側だと苦戦してたけどアウトプットする側になるとめちゃくちゃ便利なんですよ。会話で使ってみたら意外と伝わるってことを繰り返す内に苦手意識も克服していったと思います。
それともう一つ。
漫画やゲームの英訳で、関係代名詞を使った表現がとても美しい。
翻訳から再認識させられた点があります。
言葉は状況を説明するためだけにあるのではなく、感情を表現するツールでもあるということ。
今回は週刊少年ジャンプで連載中の漫画『MASHLE -マッシュル-』を教材に、関係代名詞を使った情緒のある表現を紹介していきたいと思います。
英語版マッシュル 概要
まず『MASHLE -マッシュル-』という作品そのものについて触れていきます。
英語版のタイトルは『MASHLE MAGIC AND MUSCLES』
マッシュルは魔法が当たり前の世界で魔法が使えない主人公が筋肉で立ち向かっていくお話です。
(間違ってはいない、はず……)
ぶっ飛んだストーリー故、ギャグも独特。英語版にも大胆な意訳が頻繁に出てくるのがポイントです。
例えば第一話「マッシュ・バーンデッドと鍛え抜かれた筋肉」は、
Chapter1 “Mash Burnedead and the Body of the Gods”=マッシュ・バーンデッドと神々の肉体(直訳)と、まるでドラ〇ンクエストのようなタイトルになっています。
今回抜粋するのは
第五話 マッシュ・バーンデッドと怒らせちゃいけない人
~Chapter5 Mash Burnedead and the Baleful Bully~ です(略してMBBB)
魔法界の名門・イーストン魔法学校に入学することができたマッシュくん。
魔法が使えないことは秘密にしなければいけませんが、早速校内で浮き始めます。
授業では「鍵を開ける魔法」の演習で力づくで鍵をこじ開け先生に怒られ、
寮生活ではルームメイトになったフィン・エイムズに自分の名前と、自分の筋肉たちの名前を紹介をしてドン引きさせます。
そんなマッシュくんに目をつけた学生が一人。そいつの名はロイド・キャベル。
魔法局の高官の息子であり、中等部の頃から気に入らない相手をつぶしてきたという問題児です。彼に逆らおうとする者は一人もおらず、まさしく「怒らせちゃいけない人」と認識されています。
ふとしたことからロイドに目をつけられてしまったマッシュくん。
ロイドは友好的な態度を装って近づいてきますが周りの生徒は「あいつ終わったわ」と同情ムード。
しかし、マッシュくんはロイド・キャベルをおいもきゃべつ?と聞き間違えたり「放課後ここに来いよ」という呼び出しを完全に忘れるなど、恐ろしいほどのマイペースぶりでロイドをコケにします。
関係代名詞で罪を告白してみよう
コケにされたおいもきゃべつロイド・キャベルは作戦を変更。
卑怯にも自らは手を汚さず、寮でマッシュと同部屋のフィン・エイムズに嫌がらせを代行させます。
ロイドに逆らえず、マッシュくんの教科書をボロボロにしてしまったフィンくんですが、そうとは知らないマッシュくん。「君みたいな良い人と友だちになれてよかった」とフィンくんを信頼しています。フィンくんは「次は服でも燃やしてこい」というロイドの命令を「できません」とついに拒絶。
自分に逆らったフィンくんを執拗に痛めつけるロイド。そこにマッシュが登場。
フィンくんはマッシュに自分がしたことを打ち明けます。
そのときの台詞がこちら。
“The one who ruined your text-books…It was me…”
原文:君の教科書ボロボロにしたの、僕なんだ……
はい、まず文法から!この文中の関係代名詞はwhoですよ!
ここの台詞、説明だけなら、
I ruined your text-books:僕が君の教科書をボロボロにしてしまったんだ
でも可能でしょう。意味としては同じです。
しかし、関係代名詞を使い、やや間接的な言い回しにすることでフィンくんの罪の意識が強調されています。
原文の「君の教科書ボロボロにしたの、僕なんだ……」も「~した(人)は僕なんだ」って「~した人物」という点を強調してますね。関係代名詞のthe one whoがここに該当する訳になるわけです。
関係代名詞で怒ってみよう
“I’m sorry…”と涙を流しマッシュに謝罪するフィンくん。
何度も頭を叩きつけられたフィンくんは額から流血してますが、涙が溢れてきたのはマッシュくんが来た後。彼にとってマッシュくんを裏切ったことが額から血を流すより痛かったということですね。
そんなフィンくんを「ボロ雑巾」呼ばわりし全く悪びれる様子のないロイド。
マッシュくんは、フィンくんがされたことの意趣返しの如く、ロイドの頭を床に叩きつけます。
そのときの台詞がこちら。
“You are the one who should be sorry”
原文:謝るのは、お前の方。
キャー!!マッシュくんかっこいいーーー!!!!
言葉にするより先に身体が動く、有言実行ならぬ無言実行とでもいうべきか。
第五話の「怒らせちゃいけない人」はマッシュくんでもあったというわけですね。
さて、ポイント!!
ここもYou should be sorry(お前は謝るべきだ)でも説明だけなら可能でしょう。
しかし原文では「お前」ってところがポイントだと思います。なぜならばマッシュくんは誰かを呼ぶときは基本的に「きみ」って呼ぶんです。「お前」って呼ぶこと自体がかなり怒ってる証拠です。
ですが「お前」に該当する英単語は(たぶん)ありません。英文は基本的に”you”で統一されてますからね!
なので“you are the one who —-“→”—な人物はあなただ”
→お前が〇〇したやつだろ!ってなるわけです。
“You are the one who ~~”は原文の背景を反映した素晴らしい翻訳だと思います。
みなさんも、もし周りに政治家志望の友人がいたら使えるかもしれません。
“You are the one who should be 総理(sorry)”:総理になるべきなのは、お前の方
なんちゃって!!(笑)
いかがでしたでしょうか?
関係代名詞の文章って記号とかパズルみたいなイメージだったけど、こうして見ると結構心が通ってるんですよね。ちょっとでも苦手意識を減らせたのなら幸いです😊
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